重度 の 歯周病 で 歯を残す 場合の メリット と デメリット
重度の歯周病で歯がぐらつく。その時に「歯を残すのかどうか」という選択をしなければなりません。
歯を好んで抜きたい歯科医師は一人もいません。
しかし、歯周病の症状次第では「抜歯しなければならない」と患者さんに提案をしなければなりません。歯科医師が言うように抜歯をしたほうがいいのでしょうか?それとも無理をしてでも歯を残したほうがいいのでしょうか?歯は抜いてはいけないというような諸説もありますよね。
この記事では、重度の歯周病で歯を残すことのメリットとデメリットを具体例を示しながら紹介します。
歯周病 にはステージがある?
そもそも歯周病に軽度・中等度・重度とステージがあるのはご存知でしたか?それぞれのステージで症状が大きく異なるため、そのステージに適した治療をしなければなりません。
日本臨床歯周病学会のwebページでも記載されていますが、重度の歯周病の場合、最終的な手段として抜歯という治療が必要となる場合があることは知られています。残念ながらこれは全ての歯科医師が知っている真実なのです。
進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯をしなければいけなくなってしまいます。
日本臨床歯周病学会 | 歯周病とは?より引用
重度 の 歯周病 について
歯周病とは歯肉炎と歯周炎の総称です。重度の歯肉炎とは多量の歯石やプラークを伴う歯茎の炎症を意味し、重度の歯周炎とは歯の周りの骨が歯根の半分以上吸収し歯周ポケットが6mm以上で歯の動揺が著しいものを意味します。
重度の歯周病とは、歯茎が赤く腫れ、噛むと痛みを伴うことが多いです。また、歯が激しく揺れ、歯の周りからは膿が出るような状態のことを意味します。
「 歯がぐらつく 」「 噛めない 」このような悩みで困っている方はどうしたらよいのでしょうか?
重度 の 歯周病 で 歯がぐらつく 噛めない 時はどうしたいいの?より引用
重度 の 歯周病 の歯が1本だけの場合
図2は下顎の奥歯1本だけが重度の歯周病になっています。一本の歯の根の周りを見てください。歯の根の周りを覆うように黒くなっているのがわかりますか?黒い部位は顎の骨が吸収されている(溶けている)状態を示します。
歯根の先の一部だけが骨とくっついていますが、骨というよりも、ほとんど歯茎だけで歯根を支えているような状態です。
歯が骨から分離し、浮いているような状態(浮遊歯)となっています。顎骨は白く硬くなり、防御反応を示していますが、今にも歯周病が拡大して隣の歯に炎症を及ぼしそうです。
重度 の 歯周病 の歯が多数歯の場合
上記の画像は全ての歯が重度の歯周病になっています。1本の重度の歯周病の歯がそのまま放置されたり適切な治療が行われないと、重度の歯周病は周囲の健康だった歯にも広がります。
この患者さんも最初は一本の歯だけが重度の歯周病でしたが、その途中に適切な処置がされなかったため全部の歯がグラグラ揺れるようになってしまいました。
重度の歯周病は顎の骨を水平的に溶かしていきます。インプラントや入れ歯といった補綴治療は高さや幅のある顎の骨を必要とするため、治療自体が困難なものなります。
重度 の 歯周病 で 歯を残す メリット
- 自身の歯を用いることができる ( お気持ちは察しますが、「噛んだら痛い」ことや「病気自体が広がる」という事実は解決できないです )
- 「自分の歯を残す」という自己決定権の尊重 ( 患者さんには治療選択の権利があります )
- 歯がなくなるという自身の器官を喪失する恐怖からの一時的な解放 ( その恐怖を感じない方などいません )
重度 の 歯周病 で 歯を残す デメリット
- 周囲の健康な歯にも重度の歯周病が広がる
- 疼痛、腫れなどの急性発作が起きやすい
- 歯の揺れなどを考慮しながら日々の食事をしなければならない
- 顎の骨が吸収されインプラントや入れ歯などの補綴治療が困難になる
- 歯周病菌などの刺激により動脈硬化が誘発され脳梗塞のリスクがあがる
- 歯周病菌の内毒素により糖尿病の症状が悪化する
まとめ
歯を抜かれたい患者さんはいません。そして歯を抜きたい歯科医師もいません。大事なのは、歯はきちんとした状態で残してあげる(保存する)ということなのです。
歯は、虫歯治療後、神経の治療後、根の歯周病に罹患後、根の歯周病の再治療後など様々なステージを経ていきます。それぞれのステージにおいて最適な治療で歯を保存をしなければなりません。
しかしながら、歯の状態は順を追って悪くなるではなく、それらのステージを飛び越えて悪くなってしまう場合もあります。例えば、重度の歯周病や歯根の破折などを抜歯せずに放置すると、その病巣は隣の健全な歯まで広がってしまいます。そうすると、無理をして残した歯のせいで、より多くの歯を失ったり損傷させる結果となる場合があります。
かかりつけの歯科医院の担当医と「現在の状態」と「これから予想される状態」をしっかり話し合うことこそが一番大事だとわたしたちは考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「重度 の 歯周病 で 歯を残す 場合の メリット と デメリット」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。
本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。
著者紹介
大多和 徳人
おおたわ歯科医院
オールオン4 ザイゴマクリニック
院長 歯学博士
専門分野
重度歯周病 / ザイゴマインプラント
学歴・職歴
- 九州大学歯学部歯学科卒業
- 九州大学大学院顔面口腔外科卒
- 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
- 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
- ALLON4 ZYGOMA CLINIC開設
所属学会
- 日本口腔外科学会所属 認定医
- 顎顔面インプラント学会所属
- ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
- All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
- Study Group of the Edentulous Solutions 理事
- ZAGA CENTERS所属 認定専門医
専門
- オールオンフォーザイゴマインプラント
- 九州大学総長賞受賞
(テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生) - 博士号取得
(テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生) - 国際特許取得
(主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)
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