All-on-4 ( オールオンフォー )の 定義
タグ:12本分の歯と歯肉, 1日で固定式の歯に, 4本だけのインプラント, All-on-4とは, オールオンフォー, 入れ歯や骨造成が不要, 定義
少しずつですが、一般の患者さんにも All-on-4 ( オールオンフォー )という言葉が浸透してきているようです。しかし 定義 と違う理解をされている方も多いようで、わたしの元に他院での術後のトラブルや仮歯の相談も比例して多くなってきています。
オールオンフォーは歯科界では20年以上も前からよく知られている言葉であり、画期的な治療法です。歯科界は白い詰め物や被せ物をはじめ、すべての分野で皆様が想像する以上に常に劇的な進化をしています。それとともにインプラント治療やオールオン4も劇的に進化をしています。
この記事では、All-on-4 ザイゴマインプラント協会が定義する、All-on-4 ( オールオンフォー )とは、について記してみたいと思います。
定義1. 4本だけのインプラント
All-on-4 ( オールオン4 )は名称の通り、4本のインプラントだけで歯列全体を支えます。これは5本や6本になると、All-on-4ではありません。決して、5本や6本が悪いわけではないです。しかし、それは5本で支えたインプラントブリッジ、6本で支えたインプラントブリッジになります。世界ではAll-on-X(オールオンエックス)という考え方も出てきています。
なぜ、4本にこだわるのでしょうか。答えは簡単です。4本だけのインプラントこそが、最も美しく機能的なインプラントの上部構造を作ることが可能になるからです。当院ではどのような症例でも4本だけでオールオン4を完成させてきました。オールオン4こそが、4本のインプラントで、最小限の侵襲でかつ最大の効果を発揮する治療だからです。
進化系:ザイゴマ All-on-4
上顎骨は小さく脆いです。また、副鼻腔に慢性疾患があったりすると、その影響で上顎骨が菲薄化することもあります。結果、通常のオールオン4では、インプラントに十分な初期固定が得られない場合があります。そのときは、進化系であるザイゴマAll-on-4を行います。4本のザイゴマインプラントだけで完成させるオールオン4は「Extra Maxillo Zygomatic All-on-4 (EZ4:イージーフォー)」と呼ばれます。
オールオン4は4本のインプラントだけで完成します。その本数が4本でない場合は、All-on-4 ではないです。
定義2. 1日で固定式の仮歯に
「歯がぐらぐら」でも「歯がボロボロ」でも大丈夫。1日で固定式の歯が入ります。片顎だけの治療の場合、実際にインプラント埋入の手術自体は1時間程度しかしていません。手術後、すぐに、固定式の美しい仮歯(プロビジョナルレストレーション)が装着されます。トータル2時間程度ですべての歯が、オールオン4によるインプラントブリッジに切り替わります。
もし、1日で固定式の仮歯が入らない場合は、オールオン4ではありません。インプラント施術後に普通の入れ歯を用いながら、半年後にインプラントを使用する場合、それは4本で支えたインプラントブリッジにすぎません。オールオンフォーは1日で劇的に口腔内環境を良くする治療コンセプトなのです。
入れ歯の時期はありません
オールオン4は、「オールオン4をするための入れ歯」を必要としません。もし、あなたがオールオン4をするために、一旦、総入れ歯にすることを提案されたのならば、それはオールオン4とは呼べません。その1番の理由は、総入れ歯とAll-on-4では咬合様式が異なるからです。一旦、総入れ歯にするということは総入れ歯の咬合様式に変更されます。その後、総入れ歯をくり抜いて4本のインプラントでそれを支えるのならば、それは総入れ歯を4本のインプラントで支えただけにすぎないのです。ちなみに、総入れ歯を一旦はさむことは悪いことではありません。しかし、オールオン4の咬合様式ではないため、オールオン4の定義からすると外れてしまいます。
定義3. 12本分の歯と歯肉
オールオンフォーの仮歯ならびに本歯は基本的に「12本分の歯と歯肉」から構成されます。例外的に10本や14本にすることもあります。All-on-4 ザイゴマインプラント協会では、12本分の歯と歯肉で構成されたものをオールオン4の上部構造としています。歯肉なしのケースはオールオンフォーではなくインプラントブリッジと考えています。歯肉ありと歯肉なしでは上部構造が意図するものが全く異なるのです。
定義4. 骨造成治療が不要
オールオンフォーは骨造成治療を必要としません。骨の硬いところを狙ってインプラント治療を行います。骨造成治療をする場合は、自家骨や他家骨などを填入して固めていきます。図7に示す様に、骨がなくなった部位に骨を新たに足す治療となるため、痛みや腫れが出やすい特徴があります。また、全体的なインプラント治療の場合、インプラント治療を予定する各部位に必要となるため、その部位ごとに痛み・腫れが伴います。また、骨造成治療が完成するのに半年~2年ほどかかります。
まとめ
All-on-4 ( オールオンフォー )は、4つの定義で構成されます。①4本のインプラントだけで片顎全体を支え、②1日で固定式の義歯を装着し、付け外しの必要な入れ歯を術前・術後に必要としません。その固定式の義歯は③12本分の歯と歯肉で構成されます。その手術のために、④骨造成治療を必要としません。
All-on-4 ( オールオンフォー )は一日で 歯 が入る画期的な治療です。
All-on-4 の 手術 から 仮歯 ( プロビジョナルレストレーション )ができるまで より引用
最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「All-on-4 ( オールオンフォー )の 定義」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。
本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。
著者紹介
大多和 徳人
おおたわ歯科医院
オールオン4 ザイゴマクリニック
院長 歯学博士
専門分野
重度歯周病 / ザイゴマインプラント
学歴・職歴
- 九州大学歯学部歯学科卒業
- 九州大学大学院顔面口腔外科卒
- 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
- 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
- ALLON4 ZYGOMA CLINIC開設
所属学会
- 日本口腔外科学会所属 認定医
- 顎顔面インプラント学会所属
- ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
- All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
- Study Group of the Edentulous Solutions 理事
- ZAGA CENTERS所属 認定専門医
専門
- オールオンフォーザイゴマインプラント
- 九州大学総長賞受賞
(テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生) - 博士号取得
(テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生) - 国際特許取得
(主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)
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