All-on-4 の 手術 から 仮歯 ( プロビジョナルレストレーション )ができるまで
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All-on-4 ( オールオンフォー )は1日で 歯 が入る画期的な治療です。手術後に装着される美しい仮歯 ( プロビジョナルレストレーション ) はどのように作られていくのでしょうか?
All-on-4 ( オールオンフォー ) における プロビジョナルレストレーション とは、4本のインプラントで支える「12本分の歯と歯肉を構成された樹脂性のインプラントブリッジ」のことです。
この記事では、All-on-4 ( オールオンフォー ) の手術当日、埋入されたインプラントに1日で装着する美しい 仮歯 ( プロビジョナルレストレーション )ができるまでについて記していきます。
たった一日で取りはずしの要らない歯に
ALL-ON-4 : つらい入れ歯、あきらめていませんか?その日のうちに固定式の歯が入るインプラント治療 より引用
手術前: All-on-4 仮歯 ( プロビジョナルレストレーション )の製作
All-on-4 ( オールオン4 ) は重度歯周病に罹患した歯をすべて抜歯します。そして、そのまま同日にインプラントを4本だけ設置し、その日に美しい仮歯 ( プロビジョナルレストレーション )を装着する治療です。つまり、手術日にすぐに仮歯が入ることで、人から口元を見られた時に、「歯」がないという時期がない治療法となります。
図1を見てみましょう。まず、手術前の状態の歯と歯肉の型取り (印象採得)を行います。それから石膏模型を製作します。この二つの石膏模型は、上顎(うわあご)と下顎(したあご)を示しています。
仮歯 ( プロビジョナルレストレーション )は患者さんの手術前の歯と歯肉と顎の状態を参考にし、手術後の美しい口元をイメージして製作されます。そのために、しっかりした設計と製作が重要となります。
上顎と下顎の位置関係と動きは顎関節で決定されます。顎関節の動き(顆路)はとても複雑な動きをします。顎関節は、頭の骨である側頭骨と下あごの骨である下顎骨で構成されています。図2は「咬合器」と呼ばれ、患者さんの歯と顎の関係を反映する特殊な装置になります。
当院ではその中でも All-on-4 のために精密な全調節性の咬合器として ARTEX® CR ( Amann Girrbach, Austria )を用いています。患者さんのほぼすべての顎の動きを咬合器上に反映できるような装置です。
全調節性咬合器のARTEX® CRに、患者さんの顎模型をマウントし、患者さんの顎の動きを表現します。顆路の動きを咬合器に反映させ、ワックスに人工歯を並べ総義歯と同様にワックスを樹脂(加熱重合型レジン)に置き換えていきます。
プロビジョナルレストレーション は美しい 仮歯 であるだけでなく、しっかり噛めることや機能性を付与しなければなりません。そして、この仮歯を患者さんの口腔内にぴったりの位置に装着することが一番大事になります!
手術中: All-on-4 マルチユニットアバットメント 装着
All-on-4 ( オールオン4 ) の手術では顎の骨の状態のいい箇所を狙います。さらに同時に、顎全体を支えることも考慮しています。すると、傾斜埋入となることは必然となります。そのため、アバットメントレベルでは角度補正が必須となります。
図4を見てみましょう。典型的な上顎の All-on-4 ( オールオン4 ) のイラストになります。前方2本は0度の垂直埋入ですが、後方2本は30度の傾斜埋入となっています。図4の一番左の長いインプラントがわかりやすいですね。明らかに傾いています。これを角度補正しなければなりません。
傾斜したままでは上部構造(インプラントブリッジ)の装着が困難になるため、角度補正が必要です。そのために、マルチユニットアバットメントというパーツで角度補正をして、且つ凸部とネジ山を有したパーツを用いるのです。
マルチユニットアバットメントを用いることで角度補正がされ、4つの土台は平行に近い状態になります。この4つの土台にプロビジョナルレストレーションをネジ留めしていきます。
図6では、あらかじめ製作していたプロビジョナルレストレーションに、4つの土台とネジ留めするための穴を設けていきます。これをアクセスホールと呼びます。
この時、可能な限りプロビジョナルレストレーションが患者さんにとって最適な位置になるようにしていきます。両目との位置関係や、噛み合わせの平面など設定項目が多々あります。※当院では上顎だけのAll-on-4も施術可能です。下顎があまりにも状態がよくない場合は上下顎の施術がをお願いしています。
プロビジョナルレストレーションを患者さんの口腔内で設置していく直接法と4つの土台の位置を型取り(印象採得)して模型上で設置していく間接法があります。
手術後 : All-on-4 プロビジョナルレストレーション 装着
手術前に準備したプロビジョナルレストレーションを、手術中に角度補正されたマルチユニットアバットメントと適合するように調整します。研磨をし、手術後当日に装着をします。
図7はマルチユニットアバットメントにネジ留めされたプロビジョナルレストレーションです。白いのはネジ留めするためのアクセスホールをふさぐ仮蓋になります。必要に応じて脱着できる、可撤式(ねじ止め式)のインプラントブリッジになります。
プロビジョナルレストレーションは All-on-4 システムで埋入された インプラント が完成するまで(通常2ヶ月程度)使用します。インプラントと骨の化学的結合(オッセオインテグレーション)の完成を待ちますので2か月ほどかかります(部位や骨の状態によっては半年)。仮歯でトレーニングをしている時期にもなります。以前のくずれてしまった噛み合わせから一気に補正されるので、見た目はよくても発音などにも変化がでる場合もあります。
図8が手術後に美しい仮歯(プロビジョナルレストレーション)を装着した状態です。歯肉から移行的に美しく歯ができあがっているのがわかりますか?All-on-4 ( オールオン4 ) ではこのように「1日で」インプラントを埋入してから角度を補正し、美しい仮歯(プロビジョナルレストレーション)を装着していきます。その日から噛める喜びを感じることができるようになります。つまり、ずっと悩んでいた歯の悩みが「1日」で解消されるのです。
本歯 ( 上部構造 )が できるまで にどのようなステップを進んでいくのでしょうか?
ALL-ON-4 の 仮歯 から 本歯 ( 上部構造 )が できるまで より引用
最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「All-on-4 の 手術 から 仮歯 ( プロビジョナルレストレーション )ができるまで」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。
本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。
著者紹介
大多和 徳人
おおたわ歯科医院
オールオン4 ザイゴマクリニック
院長 歯学博士
専門分野
重度歯周病 / ザイゴマインプラント
学歴・職歴
- 九州大学歯学部歯学科卒業
- 九州大学大学院顔面口腔外科卒
- 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
- 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
- ALLON4 ZYGOMA CLINIC開設
所属学会
- 日本口腔外科学会所属 認定医
- 顎顔面インプラント学会所属
- ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
- All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
- Study Group of the Edentulous Solutions 理事
- ZAGA CENTERS所属 認定専門医
専門
- オールオンフォーザイゴマインプラント
- 九州大学総長賞受賞
(テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生) - 博士号取得
(テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生) - 国際特許取得
(主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)
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