オールオン4 が できない ?手術が難しい場合とは。

オールオン4 が できない ?手術が難しい場合とは。

監修:オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士 大多和 徳人

オールオン4 が できない ?

当院のオールオン4ザイゴマ治療は上顎の骨がなく、ノーマルインプラントの埋入が難しい患者さんでも応用する事が可能な画期的な術式です。その治療コンセプトはEZ4(イージーフォー)コンセプトと呼ばれます。骨が少ないという悩みの方でも対応可能なコンセプトです。

また、骨の問題ではない場合もあります。基礎疾患のある患者さん(高血圧、糖尿病、脂質異常症等)の場合、かかりつけ医と相談し手術を行ってきました。また、歯科恐怖症や精神的な疾患を患われていて他院で手術を断られた方、歯科に通院出来なかった方でも、ご家族やかかりつけ医と相談しながら手術を行ってきました。

しかし、オールオン4が出来ないと判断せざる得なかった症例や、1日での4本のザイゴマインプラント埋入が難しく時間を要した症例もごく少数ですが残念ながらあります。そこで、今回はそんな困難と判断された実際の症例についてです。
ザイゴマインプラントをお考えの方へ。術者としてお伝えしたい事でも一部触れているような内容もありますが、今回は掘り下げてお話していきます。

頬骨の状態が特異的な方

ザイゴマ難症例
図1:(左)屈強な男性の頬骨(右)痩せた女性の頬骨

ザイゴマインプラントをする場合、ザイゴマ(頬骨)を狙う以上、最低限度の頬骨が必要です。殆どの患者さんにはしっかりと存在するザイゴマですが、ごく一部の患者さんの中には上記の図1(右)のようにザイゴマが極端に薄くて脆弱な方もいらっしゃいます。そのような方は、ザイゴマインプラントを埋入する事自体が難しくなってしまいます。また、頬骨に血管が走行していたり、一般的な形態とは全く違う形態をしていたりすると埋入位置や角度がシビアとなり困難な症例となります。

実際に当院でザイゴマインプラントが埋入出来なかった患者さんは一人もいませんが、苦慮した方は数名ですがおります。いわゆる、超難症例となります。その場合、手術時間を要する、時間をおいて埋入する、別の埋入方法を模索して埋入するという可能性は出てきます。そのような事が予想される方でも、できる限り1日で問題なく歯が入るよう過去の経験を踏まえて治療計画を立案します。

極度の臓器障害(特に肝臓、腎臓)がある方

肝臓の疾患、臓器の疾患
図2:臓器の疾患がある場合

オールオン4手術は、歯の悩みでお困りの方のかなり多くの場合で適応可能です。特にザイゴマインプラントを加えれば、その適応はより広がります。
しかし、ザイゴマインプラントの埋入となると、どうしても侵襲がノーマルインプラントと比較して大きくなります。そこで、当院では静脈内鎮静法を併用しながらリラックスして手術を受けて頂きます。

静脈内鎮静法で使用している薬剤は、身体に優しく、術中、効果が出やすく、術後の覚めもはやい麻酔薬を厳選している為、多少肝臓や腎臓の障害を持たれている方でも問題なく手術を行う事ができます。しかし、中には麻酔が困難と評価されるような臓器の状態の方もいらっしゃいます。 特に、肝臓や腎臓が極度に悪化している方の場合、代謝や排泄を行う事が困難となり、危険な状態に陥る可能性が出てきます。例えば、肝臓の場合だと肝硬変を起こして、お腹に水がたまりやすい状態や貧血傾向である可能性もあります。腎臓の場合では、透析適用が目前となる程、腎機能が低下している可能性もあります(透析中の場合は管理されているため手術ができる可能性あり)。

これらの臓器の障害はご自身が知らない間に進行している場合もあります。当院では現在の症状を問診にてお尋ねした上で術前検査を行い、上記のようなリスクがないか確認した上で手術を行っております。当院の検査で何かしらの異常が示唆された場合でも、精密検査にて手術が可能と判断された場合は手術を行う事もあります。

極度の貧血の状態の方

貧血
図3:貧血によい食事

当院のオールオン4ザイゴマ手術は、上顎もしくは下顎の片方で40分~90分で終えます。平均で60分程度です。したがって、出血量も低減しており、多少の貧血でも手術は可能となっています。

しかし、一般的な医科での外科手術も行えないようなハイリスクな貧血がある患者さんの場合、当院のオールオン4手術を受けることが難しい場合もあります。更に血液サラサラ系のお薬を飲まれていたり、出血傾向のある方であれば尚更、困難なものとなります。

当院では輸血は行っていません。代わりに輸血の代替となる方法を行う事はあります。これにより多くの場合は過度な貧血症状は起きずに治療自体を終了することが可能です。しかしながら、術後に過度な貧血リスクが疑われる場合は、総合病院のような第三次医療機関等で輸血が必要となる場合もあります。したがって、第三次医療機関である病院との連携が必要となります。極度の貧血を持っている方の場合は、輸血や入院等の問題が出て治療自体が困難となる可能性があります。

インプラント埋入する事で顎骨や頬骨の骨折を高確率で発症する可能性のある方

図4:インプラントで骨折!?

当院のオールオン4ザイゴマ治療は基本的にあらゆる状態の症例に対して適応可能です。しかし、極稀にインプラントの埋入スペース自体が見つからないくらい骨が薄い方もいらっしゃいます。この場合、インプラントを埋入する事で骨自体が骨折する恐れがあります。

また、上記のように骨が薄すぎる方の場合、インプラント埋入で骨折する恐れがあるだけでなく、骨の中を走行する神経の管の周囲の骨を損傷してしまう恐れもあります。下顎の骨には下顎管と呼ばれる神経の管が存在します。インプラント手術やオールオン4手術ではその下顎管をよけて行わなければなりません。頬骨に関しても菲薄で過度に脆弱であれば、ザイゴマインプラント埋入による頬骨骨折のリスクが出てきます。当院ではザイゴマインプラントを8年以上行っています。当院で実際に骨折して問題となった症例はありませんが、海外では菲薄すぎるザイゴマインプラントは骨折するという報告もあります。

ですので、入れ歯等を長期間入れている方でかつ、著しい骨の吸収を認める方はインプラントを埋入する事が難しい可能性があります。

上記に該当するような項目のあった方でも

もしも 
図5:インプラントの問題点に該当する

上記以外にもオールオン4ザイゴマ治療の前に注意しなければならない問題もありますが、まずはご相談頂ければと思います。
当院では様々な方に手術を受けて頂けるよう、その適応の幅を拡げてきました。他院さんでも難しいような上顎や下顎の骨幅・骨量のない方、入れ歯で骨が溶けている方、虫歯や歯周病が重度の方、軽度~中等度の持病をお持ちの方、アレルギーがあると言われた方、精神を安定させるような効果のあるお薬を常用されている方、極度の歯科治療恐怖症の方など。

しかし、少数ではありますが、中にはどうしても骨の状態、御身体の状態、患者と家族の問題等が原因で手術自体をお断りした症例もないわけではないです。出来る限りのお手伝いが出来るように、当院では「かかりつけ医との連携」をよりすすめています。これにより、そのような患者さんでも問題なく手術が出来るよう努めてまいります。

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「オールオン4 が できない ?手術が難しい場合とは。」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。

本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。

著者紹介

大多和 徳人

おおたわ歯科医院

オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士
専門分野

重度歯周病 / ザイゴマインプラント

学歴・職歴

  • 九州大学歯学部歯学科卒業
  • 九州大学大学院顔面口腔外科卒
  • 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
  • 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
  • ALLON4 ZYGOMA CLINIC開設

所属学会

  • 日本口腔外科学会所属 認定医
  • 顎顔面インプラント学会所属
  • ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
  • All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
  • Study Group of the Edentulous Solutions 理事
  • ZAGA CENTERS所属 認定専門医

専門

  • オールオンフォーザイゴマインプラント
  • 九州大学総長賞受賞
    (テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生)
  • 博士号取得
    (テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生)
  • 国際特許取得
    (主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)

深刻ではない

非常に深刻

(このメッセージは本サイトに公開されません)

(筆者の返信を求める方は必ずご記入ください)

※詳しいご相談はこちらのフォームから承っております。