オールオン4 術後 アンケート 実際のご意見に対する当院の回答

オールオン4 術後 アンケート 実際のご意見に対する当院の回答

監修:オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士 大多和 徳人

当院では[ オールオン4 術後 アンケート ]を実施しています。これは、当院でオールオンフォーの施術を受けていただいた当日もしくは翌日に実施する患者様主体のGoogleフォームを利用したアンケートです。このアンケートでは、実際に様々なご意見を頂きます。
以前、過去の記事ではアンケートの集計結果をもとにした記事を掲載しましたが、今回はアンケートで頂いたご意見に焦点をあててみようと思います。

頂いた多くのご意見の殆どは、心温まる有難いコメントでした。しかしながら、ご意見の中にはとても厳しいものや疑問を投げかけられる事も少数ですがあります。

今回は、そのような厳しいご意見や疑問を中心に当院なりの回答をしていきます。ご意見を頂戴して改善させていただいたものもあります。是非、目を通して下さい。

腫れが思っていた以上でしたので、驚きました。

図1:腫れた

こちらは、2022年頃に頂いたご意見となります。
オールオン4の手術ですが、実は、手術翌日に強い痛みの訴えは殆どありません。
それに対し、手術翌日に腫れの訴えは少なくないです。実はこれは正常な身体の
防御反応なのです。

ですので、全ての歯を抜歯してインプラント埋入を行う「オールオン4」の場合、正常な防御反応が故に腫れることも患者さんによってはあります。したがって、「オールオン4は腫れません」ということはないのです。

当院では術中・術後に投薬や点滴を工夫することで腫れの対策をしています。しかしながら、腫れが大きく出てしまう患者さんもいないわけではないです。アンケートにてご意見をいただいてから改善できた点が2つあります。

① 術式の進歩:実は手術の術式は日に日にアップデートされています。その結果、術式がスムーズになり、腫れづらくなった印象があります。しかし、体質や生活習慣は腫れとの関係性も深く、それが故に腫れが大きく出てしまう方は一定数いらっしゃいます。腫れを出来るだけ少なくする事には成功しておりますが、やはりなくす事には限界があるようです。

② 術後の点滴治療:腫れを完全になくす事は出来なくても、出てしまった腫れを早く引かせる方法はあります。それが術後の点滴治療です。術後に希望される方が多く、現在は基本のシステムの一環として行っている治療です。詳しい説明をご希望の方は一度、当院にご相談頂ければと思います。

上記2点にて腫れに対する対応もアップデートしたことで、術後数日経ってからの腫れの訴えも以前より減った印象を受けています。

口周りが受け口になった気がします。

受け口
図2:受け口

こちらも以前頂戴したご意見です。
当然、受け口にはなってはおらず、正常被蓋(正しい咬み合わせの状態)に改善されています。

しかし、歯があると仮定した場合の以前の咬み合わせ、上唇の膨らみ、このようなものが以前のものと変化する事で受け口と誤解される方がおられるようです。

当院では仮歯に対しても正常被蓋、E-line、スマイルラインを手術中から術後にかけて丁寧に設置します。出来る限り美しい顔貌と咬み合わせになるようオールオン4を設計してきます。。

しかし、自身の抱く過去のかみ合わせのイメージが強かったり、理想の顔貌を意識され期待を大きく膨らませ過ぎると、そこに乖離が生じてしまう可能性があります。
前回もお伝えした通り、仮歯はあくまで仮歯ですので、そこはご理解頂ければと思います。

また、上顎のみのオールオン4手術で下顎の不正咬合が激しい場合、あるいは殆ど歯がない場合や根っこだけの歯が殆どの場合は注意が必要です。上顎の歯と歯並びのポジションは下顎の位置に相関して決定されます。したがって、少し上顎が下がったような位置になる可能性があります。

本歯ではそのような事を防ぐため、コンピューター上で写真を用いて顔と3Dデータの重ね合わせをしてプロトタイプと呼ばれる本歯の形をデザインしたテストモデルとなるものを実際に装着し確認していきます。ですので、歯が後ろにあることや笑顔で前歯が見えない等が基本的には改善されます。

術後、かなりふらつきました。

ふらつき
図3:ふらつき

こちらは2023年頃に頂いたご意見です。吐き気はなかったがふらつきが強かったという患者さんもいました。このような意見は昔はたまにありましたが、現在は殆どありません。こちらは以下のような事が考えられます。

① 術式が変わり、手術時間が早くなった。
② 麻酔薬が以前のものと変わり、後に残りにくくなった。
③ 術式が変わった事で、出血量が減った。
④ 術後の点滴治療を活用するようになった。 
⑤ 術直後の止血や治癒促進剤を使用するようになった。

上記のように当院では多くの症例とともに処置や対応で様々なマイナーチェンジを行っております。より安全性が高く、より早く、より皆様が気持ちよく手術を受けて頂ける環境作りを心がけて、院内会議やシステム変更を日々行っております。

前歯が少しずれています。

ずれる
図4:不一致

こちらは少し前に頂いたご意見です。お顔の正中と上顎の仮歯の正中がずれていますというご意見を頂きました。下顎の正中の位置は上顎に合わせておりましたので、上顎と下顎はあっておりましたが、お顔とはあっていないとの事でした。

当院ではオールオン4手術にて術中にお口の中で咬み合わせを作ります。これを実現するためには、静脈内鎮静法を用いてうたた寝したような状態で咬み合わせをとる必要があります。

しかしながら、うたた寝の患者さんを仰向けに向かせて前後左右のポジションやその咬み合わせのデータを正確にとるとはとても難しいことです。そこで、最近は以前よりもしっかりと覚ました状態で咬み合わせをとるように心がけております。

また、コンピューターではなく自身の目を用いて、仮歯の位置を患者さんの中心に合わせます。実は、人の顔は左右対称にみえて歪みが必ずあります。したがって、コンピューターを用いない場合はどうしても若干のずれなども出てしまうこともあるのです。

現在、当院ではこのような事を考慮して、
・術前写真を見ながら正しい位置に合わせる。
・目や鼻や解剖学的なランドマークを確認しやすくする方法をとる。
という工夫をしてこの問題に取り組んでいます。

皆様からの訴えの一つ一つが貴重です。

貴重
図4 貴重

当院では当然、常に完璧な手術と完璧な治療を目指しています。しかし、「完璧」というのは当然果てしなく難しいものでもあります。さらに、患者さんの状態や様態は、血液検査やレントゲン検査から得た 術前のシミュレーションや想定と異なる場合も多々あります。しかし、その場合でもわたしたちのチームは患者さんを手術や治療をゴールまで導かなければなりません。したがって、なるべく懐の深い手術や治療を準備しています。そのような中で、治療を受けて頂いた方々から様々なご意見を日々頂戴しております。心温まるご意見を頂く事もありますし、厳しいご意見を頂く事もあります。しかし、ご意見を頂ける事自体が当院の成長にも繋がりますし、励みにもなります。
術後のアンケートでも当然、このような様々なご意見を頂きますが、頂きましたご意見はしっかりと受け止めさせて頂き、これからの当院の受診を予定とされている様々な方々、何よりご意見を頂きました患者さんに、よりよい医療を提供できるよう当院は歩みを進めていく所存です。

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「オールオン4 術後 アンケート 実際のご意見に対する当院の回答」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。

本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。

著者紹介

大多和 徳人

おおたわ歯科医院

オールオン4 ザイゴマクリニック

院長 歯学博士
専門分野

重度歯周病 / ザイゴマインプラント

学歴・職歴

  • 九州大学歯学部歯学科卒業
  • 九州大学大学院顔面口腔外科卒
  • 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
  • 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
  • ALLON4 ZYGOMA CLINIC開設

所属学会

  • 日本口腔外科学会所属 認定医
  • 顎顔面インプラント学会所属
  • ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
  • All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
  • Study Group of the Edentulous Solutions 理事
  • ZAGA CENTERS所属 認定専門医

専門

  • オールオンフォーザイゴマインプラント
  • 九州大学総長賞受賞
    (テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生)
  • 博士号取得
    (テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生)
  • 国際特許取得
    (主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)

深刻ではない

非常に深刻

(このメッセージは本サイトに公開されません)

(筆者の返信を求める方は必ずご記入ください)

※詳しいご相談はこちらのフォームから承っております。