インプラント の セカンドオピニオン その①
歯科治療において” インプラント ” 治療は一般的な選択肢の一つです。しかし、インプラント治療はケースによっては難しい場合もあります。他院でのインプラントの治療方針に納得がいかなかった時に、 セカンドオピニオン (他の歯科医師の見解) を聞いたことはありますか?
当院は、「他院でインプラントを失敗されてしまったから診てほしい」「他院ではインプラントをしても機能するかは五分五分と言われた」「オールオンフォーを失敗された」とセカンドオピニオン を目的に当院に相談に来られる方が沢山います。実は多くの場合、インプラント治療が上手くいかなかったことには理由があります。
この記事では、他院で提案されたインプラント治療のセカンドオピニオンや、他院でうまくいかなかったインプラント治療のやり直しについての実例を紹介したいと思います。1例目。
相談内容①:インプラント治療なのに、オーバーデンチャー(着脱式の入れ歯)と言われた
それでは最初の相談内容です。この患者さんは、入れ歯をしていましたが、歯科に行くたびに少しずつ歯を抜かれては、入れ歯の本数が増えるを繰り返していました。最後の1本となったところで、インプラントで歯を作ることを決意したそうです。しかし、他院で提案されたのはインプラントオーバーデンチャー(以下、オーバーデンチャー)だったそうです。そもそも、オーバーデンチャーは2本から6本ほどのインプラントを用いて、上顎もしくは下顎のすべての歯と歯肉を構成する入れ歯になります。つまり、この患者さんは入れ歯をやめようと思ったのに、入れ歯(インプラント上)しかできないと言われたのです。
噛み合わせの種類による噛む力の比較(天然歯を10とする)
入れ歯 | オーバーデンチャー | 天然歯 | インプラントブリッジ |
4 | 6 | 10 | 12 |
着脱式 | 着脱式 | − | 固定式 |
不快 | やや不快 | 快適 | やや快適 |
オーバーデンチャーはあくまで入れ歯です。インプラントを用いることで、総義歯(全体的な入れ歯)の動きを制限し、機能を上げています。インプラントとの接合部は、ロケーター、磁石、O − リングなど種々ありますが、オーバーデンチャーの場合、どの接合部だったとしても全て着脱式、つまり付け外しが必要な入れ歯となります。
インプラントの上部構造として主なのは、インプラント単冠やインプラントブリッジです。ネジで締結される固定式が主となります。固定式の場合、着け外しの必要がなく装着したままとなるので自分の歯のような使い方になります。固定式と着脱式では、快適度に大きな差がでてしまいます。
しかし、入れ歯やオーバーデンチャーは否定されるものではないです。着脱をしなくてはならないですが、着脱できることでしっかり洗浄できるという点もあります。天然歯は当然ですが、インプラントブリッジも毎食後の度に着脱して洗浄するのは現実的ではないです。
①’ 要望:入れ歯ではなく固定式の歯にしたい
患者さんとしては、意を決してインプラントの相談にいきましたが、「インプラントはできません」という施設もあれば、「オーバーデンチャーしか無理」という施設もあったそうです。しかも、費用も自分の希望とはやや反するオーバーデンチャーにもかかわらず非常に高額だったそうです。また、オーバーデンチャーの使用感が入れ歯に似ているような気がして治療に踏み切れなかったそうです。
①”理由:オーバーデンチャーは入れ歯だから
- そもそも入れ歯をやめたい
- 天然歯に近い固定式の歯にしたい
- オーバーデンチャーはサイズが大きい
- オーバーデンチャーは味がしにくいのでは
- 意に反するオーバーデンチャーでも高コスト
やはり患者さんとしては、「入れ歯から開放されたい」ということが1番の思いでした。すべての悩みの始まりが、「入れ歯」だったからだそうです。高額な治療費をかけて、インプラント治療までして、ご自身が手にいれるものがインプラント上の入れ歯(=インプラントオーバーデンチャー)であることがどうしても受け入れられなかったそうです。また、オーバーデンチャーは粘膜支持も必要となるためサイズが大きくなることがあります。また、樹脂部分が口蓋を覆うことが多いため、味覚の面でも不利な部分となり、受け入れられなかったそうです。
①”’ セカンドオピニオン:特殊なインプラント治療の提案
インプラント治療が成功するためには、インプラント治療のメカニズムである「インプラントと顎骨の化学的結合」が必須となります。しかし、歯周病が重症化すると顎骨がなくなります。特に上顎骨は薄く柔らかくもろいです。顎骨がないとインプラントを望ましい部位に設置することができないため、インプラントブリッジができません。
インプラント治療のメカニズムは、
インプラント や ALL-ON-4 を 断られた 人でもできる ALL-ON-4 ザイゴマインプラント をご存知ですか? より引用
インプラントで固定式の歯を入れる場合、総義歯のように顎全体までを考慮すると、複数本のインプラントの頬舌的な位置(内側か外側か)と上下的な位置がある程度そろっていないとインプラントブリッジは作ることができないのです。つまり、オーバーデンチャーしかできないといわれたのであれば、顎骨が少ないが故にインプラントを顎全体にバランスよく配置するのが難しいということとほぼ同意になります。
そこで、当院のセカンドオピニオンとしては、図3に示すように、ザイゴマインプラントを併用したオールオンフォーでの即時再建の提案でした。当院のAll-on-4 ザイゴマインプラントシステムは、顎骨がなくても、インプラントのプラットフォームの位置を頬舌的、上下的に揃えた位置に配置できます。これならば、インプラントブリッジとして歯を作っていくことができます。
①””結果: All-on-4 による再建
医療の技術は日進月歩で進化しています。
・他院で歯科治療を断られたようなケース。
・他院でインプラント治療がうまくいかなかったケース。
・他院での治療方針に納得がいかないケース。
当院の All-on-4 ザイゴマインプラント であれば1日で固定式の歯が入ります。
他院の失敗したケースでも対応可能となりますのでご相談ください。
治療を諦めないでください。同じようなお悩みの患者さんは全国からいらっしゃっています。なにかお役に立てるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「インプラント の セカンドオピニオン その①」をテーマに記事を書きました。歯の深刻な悩みをお持ちの方に向けて記事を書いていますが、疑問は解決しましたでしょうか? 皆様のインプラントに関する不安を少しでも軽減できる情報を提供できればと考えています。
本ブログは「双方向」であることをモットーとしています。本ブログ読者からのインプラント、All-on-4、ザイゴマインプラントに関するフィードバックやご質問に、できる限り筆者が記事を書いたり、個別返答でお悩みにお答えすることができます。
※本ブログはインプラント・ザイゴマインプラント専門のブログとなりますのでご了承ください。
著者紹介
大多和 徳人
おおたわ歯科医院
オールオン4 ザイゴマクリニック
院長 歯学博士
専門分野
重度歯周病 / ザイゴマインプラント
学歴・職歴
- 九州大学歯学部歯学科卒業
- 九州大学大学院顔面口腔外科卒
- 九州大学病院デンタルマキシロフェイシャルセンター勤務
- 大分岡病院顎顔面外科マキシロフェイシャルユニット勤務
- ALLON4 ZYGOMA CLINIC開設
所属学会
- 日本口腔外科学会所属 認定医
- 顎顔面インプラント学会所属
- ICOI(国際インプラント学会)所属 認定医
- All-on-4 ザイゴマインプラント協会 理事
- Study Group of the Edentulous Solutions 理事
- ZAGA CENTERS所属 認定専門医
専門
- オールオンフォーザイゴマインプラント
- 九州大学総長賞受賞
(テーマ: 3Dプリンターによる三次元骨再生) - 博士号取得
(テーマ: カスタムメードチタンメッシュでの骨再生) - 国際特許取得
(主題: All-on-4 のための三次元スキャンボディの開発)
※詳しいご相談はこちらのフォームから承っております。